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前日へ 544 :■■■■ 24日目 チュン…チュンチュン 闇城「はっ!」ガバッ 闇城「よかった…よかった…」 闇城「まだ俺視点だ」ホッ 闇城「さて、夏休みも残す所後一週間か、悔いなく過ごしたいな」 闇城「何をしようか」 安価下 1 自宅で過ごす 2 来訪者(誰?) 3 出かける(どこ?) 4 その他 545 :■■■■ 誰か原作キャラに会いに行こう! 546 :■■■■ 闇城「とりあえずそこらへんぶらぶらするか」 闇城「この夏休みで俺の狭かった顔もすこしは広がったし、誰かしら会うこともあるだろうしな」ガチャ ○ 闇城「ふーむ。案外会わないもんだな…」 闇城「お、あれは?」 誰? 安価したの秒数一桁で決定 1 上条 2 御坂 3 白井 4 一方通行 5 ステイル 6 神裂 7 御坂妹 8 初春 9 インデックス 0 547(原作キャラ) 547 :■■■■:2015/01/07(水) 23 17 11 ステイルこい! 548 :■■■■ フコウダ… 闇城「あそこから松葉杖をついて満身創痍で歩いてくるウニ頭は…」 上条「はぁ…インデックスのやつ俺の入院中に冷蔵庫の食料食い荒らしてないだろうな?」 上条「やっぱ小萌先生にあずけておくべきだったか…こんな恐ろしい退院はゴメンですよ」テクテク 闇城「おーい、アンタ」 上条「ん?ああ…いつぞやの一般人じゃありませんか」 上条「見ての通り満身創痍の上条さんになんか御用でせうか」 闇城「闇城降魔だ。いい加減覚えろ」 上条「はは、それさっきもビリビリに言われた」 549 :■■■■ 闇城「別に用はないんだけどさ。ただ見知った顔だから声かけてみただけ」 闇城「というかなんだそのなりは。交通事故にでも巻き込まれたのか?」 上条「いやぁ、ただのダイナミック下克上を終えただけですよ」 上条「そっちもそっちでだいぶ顔つきが変わったようなきがするけど。気のせいか?」 闇城「顔つき?ああ、何度か修羅場を乗り越えてきたからな。変わるのも仕方ないな」ウンウン 上条「あれ。どこか既視感を覚え…」 550 :■■■■ 上条「まあいいや。それじゃ俺行くから」カツ 闇城「待った待った」 キメラ 上条「なんでせうか。今は一分一秒でも早く帰らないと腹をすかした同居人が…」ワナワナ 上条「だーっ!どう考えても頭の傷が増える展開しか見えない!!」 闇城「だから早く帰りたいんだろう?それなら荷物持つぜ。そんなぼろぼろな恰好で重荷を背負ってくのもキツイだろ」 上条「え…いいのか」キョトン 闇城「まあどうせ同じ方向だしな」 上条「ううう…こんなにも良い奴がいるとは。あとはこれが優しいお姉さんだったら文句はないのに」 闇城「あ用事思い出s」 上条「頼む!!なんでもないから!」 551 :■■■■ ○ 闇城「しか~し、その同居人ってのはあの白いシスターさんのことか」テクテク 上条「ああ、インデックスって言うんだけどさ。わけあって一緒に住んでいるんだ」テクテク 闇城「年端もいかない少女と同棲とか、う…裏山けしからん」ギリ 上条「何言ってんだ。ゲーセンにいた時にアンタも見たろ。容赦なしに俺の頭を食い砕こうとする白い悪魔を…」フルフル 闇城「何を言ってやがる。もはやそれがご褒美なんだろ?本当は『不幸だ―』なんて言いながら快感を感じてんだろ!?」 上条「上条さんを勝手に変態扱いするんじゃないのことよ」 上条「一度味わうといい…マジで死ぬから」ゴクリ 552 :■■■■ 上条「ん、着いたな」 闇城「へえ。こっちの方に住んでんのか」マジマジ 闇城「それじゃ荷物はここにおいておくから」 上条「もう行くのか?」 闇城「まあ役目は果たしたことだし特に長居する理由もないし」 上条「お礼じゃないけど上がっていかないか。お茶くらいならだすぜ?他は期待しないほうがいいけど」 闇城「ん~どうすっかな」 安価下 1 お邪魔する 2 別の場所へ(どこに?) 3 その他 553 :■■■■ 1 554 :■■■■ 実は番外編も含めると 546の面々の中で未登場なのは御坂妹と初春のみだったりする 555 :■■■■ 初春は7日目IFでチラッとだけ登場している 御坂妹はあの独特の台詞回しが書きにくいせいか、全く登場していない 556 :■■■■ 闇城「断るのも悪いし、おじゃましとくか」 上条「そう来なくっちゃ。久々の来客だからな。上条さん本気出しちゃいますのことよ?」 闇城「ほ~」 上条「ほら俺はあそこの部屋なんだ」 闇城「ん、誰か部屋の前にいるぞ」 ??「…」ジー 上条「あいつは…」 安価下の秒数一桁 誰? 1 インデックス 2 ■■■■ 3 御坂 4 神裂火織 5 ステイル 6 御坂妹 7 土御門 8 スフィンクス 9 インデックス 0 更に安価下 557 :■■■■:2015/02/14(土) 22 08 06 ゆっくりでも構わないので応援してますぜ。 558 :■■■■ 上条「あれ、御坂妹じゃねえか。どうしたんだ。俺の家の前なんかで突っ立って」 闇城「御坂妹…?あの超電磁砲に妹なんていたのか」 御坂妹「…」 闇城「…ほう」マジマジ 闇城「確かに瓜二つだな…もしかして双子?」 上条「あ、ああ。そういうことだ」 御坂妹「先日のお礼を、と思いまいて。改めておじゃましたのですが…どうやらおじゃまでしたねと、ミサカは友達の友達という微妙なポジションの居心地の悪さから足早に立ち去ろうと準備をしつつ、一礼します」 上条「別に邪魔なんかじゃねえよ。お礼をしに来たんだろ。なら御坂妹も上がって行けって」 闇城(変な口癖。とういうかズバズバ言いすぎだろ!たしかに俺も微妙な距離感を感じてはいるが…) 御坂妹「そうですか…?ならお言葉に甘えてとミサカは部屋の主よりも先に薄汚れた部屋に潜入します」 上条「薄汚れた言うな。こう見えて上条さんはマメに掃除してるのですよ!」 闇城「はは…変わった子だな」 559 :■■■■ ガチャ 禁書「…!」ピク 上条「お~い。インデックス戻ったぞ~…って」 上条「なんじゃこりゃあああああああああ!!」 闇城「おいおい…」 御坂妹「これはひどい、とミサカは眼前の惨状に顔をしかめます…」 禁書「ぐるるるるる…!!」 上条「い、インデックスさん…?。なんですかその野性味にあふれた瞳は」 上条「そんな野獣っ子に育てた覚えはありませんよ、はは、はははは」 禁書「とぅ…ま…ぁ」グルル 御坂妹「そういう趣味があるのですかとミサ」 上条「違うから!!ないから!」 禁書「お…なかぁ……減った…ぁ」ギン! ガブッ 560 :■■■■ 上条「んぎゃああああああああああ!!」 禁書「お腹減ったお腹減ったお腹減ったお腹減った」ガブッ! ガブッ! グチャッ! 上条「ギブギブギブギブ!!死んじゃう!上条さん死んじゃう!! なんか人間の頭からは聞こえてきてはいけない破砕音が聞こえてるから!!」 禁書「ひどいよとうま!なるべく早く帰ってくるって言ったのに!!もうこの部屋にある食料なんてとっくに尽きちゃってるよ!!もう半日も何も食べてないよ!!」 上条「だだだだだから!そういう時は小萌先生の家にいけと…!」ギャアアア 禁書「時既に遅しだよ! 気がついたらお腹すきすぎて部屋から出る体力も尽きていたんだよ!!」ガリッガリッ 上条「俺の頭をこんなにアグレッシブに砕こうとする体力が残ってんじゃねえか!!うぎゃあああああ」 禁書「これは火事場の馬鹿力ってやつだよ!!ここで餓死するならせめてとうまを道連れに…と」ガリッガリッ 上条「怖いこと言うな!!」ンギャアア 禁書「とうま…私と一緒に地獄に落ちてくれる?」ガブッ!ガブッ! 上条「落ちない!引き釣り上げてやるから!とにかくやめてくれぇえええ!!」ヒィィィィ 上条「誰か、一刻も早くインデックスに食料を…俺の頭半分がなくなっ…ちまう!!」 561 :■■■■ 闇城「いや…そうしたいのはやまやまなんだが。食いもんなんてなんにも…」 御坂妹「…」ゴソゴソ 御坂妹「それでしたら、クッキーがありますが」 上条「それだ! それをこいつの口に…!!」 御坂妹「あなたのために作ってきたのですが、仕方ありませんね…」ボソッ ○ 禁書「プハーッ! 生き返ったんだよ!ありがとねクールビューティ」 上条「上条さんは一回死んで生まれ変わるところでしたよ」ボロッ 御坂妹「およそ3秒で全て平らげるとは…恐れ入りましたとミサカは感嘆します」 闇城「飢えとは怖いな」ゴクリ 禁書「ところであなたは誰?」 562 :■■■■ 闇城「ん。ああ、悪い。自己紹介がまだだったな。一応こいつと同じ学校に通ってる闇城降魔ってもんだ」 闇城「まあ友達ってほど親しい間柄でもないが顔見知り程度の関係だと思ってくれ」 禁書「へえ!私はねインデックスっていうんだよ!」 闇城「い…インデ…なに?」 禁書「インデックス!魔法名はDedicatus545。献身的な小羊は強者の知識を守るって意味だよ」 御坂妹「魔法名…?」 闇城「はは。またまた香ばしい設定をお持ちで」 闇城(と夏休み前の俺だったら一蹴していたんだが、既に魔術師とかいう連中に何人か出くわしてるからな) 上条「はいはい。インデックスさん余計なことはしゃべんなくていいから。自体がややこしくなる」 禁書「むぅ~」 563 :■■■■ 闇城(もしかして上条のやつ…こいつも魔術師と関わりが…?) 上条「ん?どうした闇城。なんか俺の顔についてる?」 闇城「おう、無数の噛み跡が」 上条「はは…これはいつものことだから気にしないでくれ」 闇城(探りを入れるべきか微妙だな。知ったところでどうなるわけでもないし) 御坂妹「傷はもう大丈夫ですか、とミサカは貴方の安否を気遣います」 上条「傷?ああインデックスの噛まれたところならそこまで」 御坂妹「いえ、先日の傷です。聞いた所予定よりも早く退院してきたと聞いたので」 上条「見ての通り満身創痍ですよ。まあ、あとは自宅で安静にしとけば数日で包帯とかは外せそうだけど」 御坂妹「そうですか…」 御坂妹「ありがとうございます、とミサカは重ね重ね謝辞を述べます」 闇城(と言うか、この子との関係も気になるんだよな) 闇城(どっちかに探りいれてみようかな) 安価下 何を聞く? 1 インデックスとの関係 2 御坂妹との関係 3 上条について詳しく 4 その他 564 :■■■■ 2 565 :■■■■ 闇城「なんだなんだぁ?まさかこの子のために体を張って守ったとか言う話ですかこの色男!」 御坂妹「まぁ…込み入った話があるんですがざっくり言えばそんな感じです、とミサカは簡潔に答えました」 禁書「ちがうんだよ。とうまは自分のために戦ったんだよ。そう言ってたもん」 上条「おう。御坂妹や御坂をほっておけなかっていうのもあるけど、やっぱ俺が嫌だったんだ」 闇城「なにこのイケメン」 闇城「でも結局具体的な内容は見えてきてないぞ。何と戦ったんだ?悪党か?スキルアウトか?悪事を働く研究者とか?」 上条「学園都市第一位」 闇城「は?」 上条「な~んっつってな!ははは、なに一瞬信じてんだよ」pgr 上条「レベル0の上条さんがそんな無謀なことするわけ無いだろ」 上条「ちょっとした最強をぶっ飛ばしてきただけだ。もちろん与えたダメージより受けたダメージのほうが半端無くてこのザマだけど」 566 :■■■■ 闇城「この野郎!俺の純情を怪我しやがって!人間不信になったらどうしてくれんだ」ムカー 御坂妹「ちょっと、いいですか」 闇城「大体初めてあった時から胡散臭…ん、俺?」 御坂妹「少しお話が、とミサカは袖口を掴みながら表へ出ろ、と示唆します」グイグイ 上条「お、おい御坂妹」 御坂妹「大丈夫です。あなたの考えているようなことはしゃべりませんので」 闇城「なんだ…なんだ?」ヒッパルナ 玄関前 御坂妹「…」 闇城「で、なんなんだ」 御坂妹「手短に言います」 567 :■■■■ 御坂妹「彼の日常の基準点になってくれませんか、とミサカはきっぱりと言い放ちます」ジッ 闇城「基準点だぁ? 何いきなり言い出してんだか。大体俺と上条がどういう関係か…」 御坂妹「あなたと彼との関係はおおよそ把握しています。それを踏まえた上での発言です、とミサカは念押しします」 御坂妹「ミサカとしても彼との付き合いはそう長いものではありません。ぶっちゃけた話つい先日のようなものです」 御坂妹「けれど彼がどういう人物かはだいたいわかった気がします」 闇城「まじかよ。俺には頭かじり虫に年中噛み付かれてる幸薄い奴ってイメージしか……」 御坂妹「彼はお節介なんです。その上危険を顧みない大馬鹿者です。自分の身を投げ出してでも手を伸ばされたら差延べるような超お人好しです」 御坂妹「だからこそ、どこへでも行くしどこまでも沈んでいく。自分の力で誰かをどん底から引き釣りあげられるのならと」 闇城「……アンタもその引き釣り上げられたくちか?」 御坂妹「そうですね。否定はしません」 御坂妹「ただそうやって何度も何度も奥底へと進むにつれ、彼は彼があるべき日常を見失うのではないかと危惧しているのです、とミサカは心中を吐露します」 御坂妹「あなたはただ彼と接し、彼がこの日常こそが自分のいる場所なんだと実感できるように努めてもらいたいのです」 闇城「なるほど、だから基準点ってか? 筋は通ってるな」 闇城「けどさ」 568 :■■■■ 闇城「別に俺がそこまでしなくてもあいつはわかってると思うぜ?」 闇城「あいつはあいつがいる場所に返すために誰かを救おうとしてんだろ。だったら導き手が導く場所を忘れちゃいけないだろ」 闇城「ま、どちらにせよ。オレはオレとして接しさせてもらうぜ? といってもそんなに知ってるわけじゃないけどな」 御坂妹「…そうですか。ミサカは少し考えすぎていたようですね、と反省します」 闇城「そういうこった。んじゃ戻るとすっか」 ○ 上条「お帰り。何話してたんだ?」 闇城「ま、ちょいちょいっとな」 上条「はっ! まさか御坂妹から一目惚れの愛の告白!?」キャー 御坂妹「言ってる意味がわからないのですがと、ミサカは要は黙れと忠告します」 闇城「俺もギャルゲー主人公くらいのスペックがありゃあそんくらい期待出来たんだがな」ハハハ 569 :■■■■ 禁書「そんなことより、おなか空いたんだよおなか空いたんだよおなか」 闇城「俺のスペックが“そんなこと”で流された……」ズーン 上条「いやインデックスさん? あなたさっき御坂妹からクッキーをもらったでしょ」 禁書「あんなものじゃ全然物足りないんだよ! ねえとうまとうまとうま!!」ウガー 上条「わ、わかったから落ち着け! そして犬歯をちらつかせるんじゃありませんのことよ!?」 御坂妹「私のクッキーが“あんなもの”……と、ミサカは腹ペコシスターに唖然とします」ズーン 禁書「ご飯! ご飯行こうよとうま!」 上条「ぐぬぬぬ……退院したばっかで金が」 禁書「また入院したらもっとお金がかかるんだよ」ギロリ 上条「さらっと怖いこと言うな!!」ヒー 570 :■■■■ 上条「ぐぉおおおお…金が、でも命がまた危険に…」ウーン 上条「ど、どうすれば」 闇城「要するに上条は金がなく、そこのシスターさんはたらふく食いたいんだろ?」 闇城「だったらその二つを一気に解消するいい方法があるぜ?」ニヤ 上条「うっ、嫌な笑み! でも聞いちゃう!悔しい!」ビクンビクン ○ 闇城「てなわけで、だ」 福百紀長「へいらっしゃい! 4名様ね」 禁書「えっとねえっとね! 私はこのきかんげんていちょうめがきゅうきょくもりはいぱーでらっくすらーめんチャレンジってのにするんだよ!」 上条「まさか大食いチャレンジとは……失敗した時が怖いのですが」ショウユラーメンデ 闇城「まぁまぁ、延命治療だと思って、な?」オレミソラーメン 上条「結局死ぬ定めなのでせうか!?」 御坂妹「一度にあれほど偏った食事を行うと人体に及ぼす影響が…」 闇城「そういうのはきにしないきにしない」 御坂妹「わかりました」シオシカアリエマセン 571 :■■■■ 福百「はいよ。醤油と味噌と塩とそれから」 福百「期間限定超メガ究極ハイパーデラックスラーメンチャレンジだね?」ニヤリ 禁書「そうだよ!早くそのハイパーデラックスなラーメンを食べたいんだよ!?」ワキワキ 福百「言っておくがお友達の助けはなしだよ?それでもやるんだね」 禁書「もちろんだよ! 頼んだってあげないんだよ!」 福百「わかった。くれぐれも後悔のないようにね」 上条「はぁ~完食したら5千円贈呈。残したら一万円の罰金だからな…ハイリスク・ハイリターンだ」 闇城「言い出しっぺは俺だし、駄目だったら俺からも少し出すからそう思いつめた顔すんなって。悪化すんぞ」カカ 572 :■■■■ ワシが見ておるぞ幸村ァーッ!! お待ちしておりました。焦らずマイペースで仕上げてください 573 :■■■■ まだ見ている人がいるとは…感謝感激ですわ゚(゚´ω`゚)゚。 ――――――――――――――――――――――― 上条「ちくせう。所詮は人事でせうよ。内側からも外側からも頭痛で苦しむ上条さんの気持ちなんて」ウウウ 福百「なんか苦労してんだね。同年代なのに。ま、それはそれこれはこれだ。根切りは通用しないかんな」ヘイオマチ 闇城「まま、食えって? 食って忘れちまえ」ズゾゾゾ 上条「今日はやけ食いですわ!食いだおれて忘れちまうぞぉおお」ズゾゾゾゾ 禁書「ふご!! おいふぃいんやよ!! こんなに量があふのに決してそのインパクトに味がまへてなふぃんだよ!!」ズゾゾゾムシャムシャ 福百「当たり前だ。質より量なんてのは邪道さ。質も量も極めてこそ真のラーメンだかんね」ハッハ 禁書「これなら後3杯はおかわりできるんやよ!! おいふぃくて…!ムシャムシャ箸が止まらないんだよ!!」 福百「これに挑戦する奴はみんな最初は言うんだよなぁ」ニヤリ 御坂妹「……」ツルツル 575 :■■■■ 御坂妹「おいしい……」ボソッ 闇城「だろ? 言っとくけどこの店は情報通じゃねえと来れない場所だからな、ここに招待した俺の顔の広さに感謝するんだな」 御坂妹「…はい。グッジョブですとすかさず懇親のサムズアップをあなたに送ります」ニッ 闇城「…お」 闇城「おう」 闇城(素直に感謝されるとなんかむず痒いな…ま、悪かねえが) 上条「御坂妹はこういうものを食べるのは初めてか?」ズゾゾゾ 御坂妹「ええ。今までは点滴による摂取か固形栄養食などでしたから。知識では知っていましたがこうして口にするのは初めてです」 闇城「ラーメンが初めてって、一体どんな人生送ってきたんだよ」ハハ 上条「まあ、色々とな」 御坂妹「色々とですね」 闇城「?」 576 :■■■■ オイシンダヨ オイシンダヨ 闇城「ま、なら良かったな。初めて食べるラーメンとやらがここの店で」 コクガアリナガラ ソレデイテ アッサリ チャシューハホドヨイヤキカゲント シャキシャキノモヤシ 御坂妹「はい。そうですね。ミサカの初めてがどこぞのごついおっさんのもので奪われたら正直ショックでした、とぶっちゃけます」 コレヲツクッタモノダダレダ! ッテ サケビタインダヨ 上条「その言い方はいささか卑猥じゃないですかミサカさん!?」 イイクイップリダネ コノチョウシデイクト…イヤ マサカネ ハハ 闇城「いや、確かにいかにもなラーメン屋のおっさんが作るラーメンて案外ハズレが多いんだよな。なんだこれ!? ギャップ萌えでも狙ってんのか!? みたいなことも多々あるぜ」 上条「顔じゃ味は判断出来んでしょ…ま、期待はずれなことは。わからなくもない」 上条「見た目は清純可愛いシスターさんでも、蓋を開けてみればあらびっくり。常時腹ペコキャラでしかも噛み付いてくるこれほど神様を恨んだことは……」ペラペラ ゴゴゴゴ 闇城「お、おい…」 上条「そもそもだ、俺はあの時おかしいことに気づくべきだったんだ。賞味期限デッドゾーンのパンをおいしそうにむしゃぶりつくす姿を見て「ああ、こいつは食に関して貪欲なモンスターだ」と」 ゴゴゴ 闇城「うしろうしろ」 上条「…へ?」 577 :■■■■ 禁書「ねえとうま? それって誰のことを言ってるのかな、かな?」ジー 上条「い、インデックスさん? お前ら、ラーメンは?」 禁書「もう食べ終わったんだよ。とても美味しかったんだよ」ニコ 上条「そ、そうかやったな。5千円ゲットなのだ―。は、ははは」 禁書「ねえとうま?」 上条「なな、なんでせうか」 禁書「インデックスはね食後のデザートを希望するんだよ」ニコニコ 上条「お、おうそれなら。帰りにコンビニによって、てなに歯をぎらつかせてるんでせうか!? ここにもう食べるもんなんてないんだが」 禁書「いや、あるんだよ。いつも噛み慣れてるから。お口直しにはぴったりなんだよ?」 上条「と、というと?」 闇城「結局このパターンか…ま、少しばかり長生き出来て良かったな」ポン 御坂妹「南無です」ツルツルツル 禁書「いただきまぁぁぁあすなんだよッ!!」ガブゥゥ 上条「んぎゃあああああああああああああああッッ!!」 578 :■■■■ ○ (お会計) 醤油ラーメン 味噌ラーメン 塩ラーメン 超メガ究極盛ハイパーデラックスラーメン +上条ヘッド 福百「まさかこれを完食する奴がいるなんてね。私の世代じゃ会うことも無理かと思ったんだけど…」 福百「いいものが見れたよ。ま、それはこの御礼だと思って受け取ってくれ」 上条「なんか悪いなこれだけ食ったのに逆にお金もらっちまうなんて」ボロッ 福百「別に。それまでこいつで稼いできたから五千円くらい安いもんだよ」ニシシシ 闇城「良かったな。頭は守れなかったがつかの間の財布の平穏は守れて」 御坂妹「病院でならいつでも待ってますよ、とミサカは手招きします」 上条「不吉なこと言うな! しばらくは病院にも行かねえし、諭吉も英世もあとこのメガネのおっさんも守り通す!」 禁書「とうま~もう眠いんだよ。早く帰ってお風呂に入りたいんだよ」ウトウト 579 :■■■■ 上条「なんですか姫。さっきまで超エキサイティンで人の頭蓋骨を噛み砕かんとしてたのに」 禁書「だから疲れたんだよ! これもとうまのせいなんだからね、この私に無駄な労力を使わせて」 上条「いやそれは貴方様が勝手に…」 禁書「罰として私をおぶっていくんだよ。眠いし、おにゃかいっぱいで……」 上条「っと、」ガシ 禁書「ん……」スースー 上条「まったく散々人を振り回して眠っちまうとは、やれやれなのですよ」 上条「しょうがね、背負っていくか」 闇城「いやいや、その体じゃ無理だろ」 上条「あ、…そう言えば上条さん退院したばかりなのでした」ハハ 闇城「天然モンのお人好しだなまったく。家まで送ればいいんだろ? だったら俺が運んでいく」 上条「いいのか?」 580 :■■■■ 闇城「男に二言はなし! それに無事送り届けなきゃ俺が心配で眠れねえんだよ」 御坂妹「……ブーメランとはこのようなものなのですかね」ボソッ ○ 上条宅前 上条「いやぁ、悪い。助かった。二人共。インデックスも心地よさそうに寝てるよ」 闇城「それはいいんだが…あのシスターの胃はどうなってんだ? 見た目と質量が一致していないほどの重さだったぞ」ゲッソリ 御坂妹「アレだけの量がまるごと入ってるわけですからね、むしろ太らないことが異常です」 上条「それについては触れてはいけない気がするんだ」ハハハ… 上条「ともかく、今日は助かった。ありがとうな」 闇城「別にこっちも色々と楽しかったからお互い様だ」ニヤニヤ 御坂妹「あなたは助けられることも知っておいたほうがいいと思いますから。後々のために」 御坂妹「それでは。私も帰ります」 闇城「お、一人で大丈夫か?」 582 :■■■■ 御坂妹「心配ご無用です、とミサカは自らの鍛え上げられた肉体を誇示すべく二の腕のちからこ見せつけます」グッ 闇城「おいおい……どこにあんだよ、力こぶ」 上条「御坂妹なら大丈夫さ。いざとなったら他の妹が危機を察知できるだろうし」 闇城「妹?まだいるんかよ」 上条「ま、まあな。意外と多産系なおかんなんだよ」ハハハ 闇城「そっか。とにかくそういうことなら俺もお暇するとするか。ま、あとは若いお二人でゆっくりとな」ニヤニヤ 御坂妹「満月の夜だからって野獣化してくれぐれも過ちのないよう」 上条「美女と野獣じゃあるまいし! つーか美女な野獣だろこの場合」 583 :■■■■ 御坂妹「それでは失礼します。また機会があれば」 闇城「おう。んじゃまたな妹さん、上条」 上条「二人共気をつけて帰れよー」 ○ 闇城「ふう…早い一日だったな」 闇城「……」 闇城「夏休みも残り僅かか……」 闇城「こりゃ、無駄にはできないぞ。残りの数日はさらに充実した夏休みを送らねえと」 24日目 完 翌日へ
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閣下、お耳に入れたい厄介なお知らせがあります。 泥棒男爵は新しい王を選んだようだ。王国を内側から攻めるために、 将軍たちは犯罪者たちを集めようとしている! 新しい王が誕生する前に、泥棒男爵の城を陥落させるんだ。 この任務を完了するための時間はあるが限られている。 報酬 泥棒男爵の攻撃から7日間保護されます。
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ゲーム概要(wikipedia) 金沢将棋 金沢将棋'95
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北陸鉄道≫当地 金沢市内を結構走っていたん。金沢駅が片町や香林坊などから離れてるため便利だったん。 公営ではないが金沢市内を走る電車ということから金沢市電と略される。 駅一覧 白銀町は往路、六枚町は復路のみ停車。それぞれ廃止時名称。 運行系統1 金沢駅前 - 白銀町(六枚町) - 安江町 - 武蔵ヶ辻 - 尾張町 - 橋場町 - 味噌蔵町 - 兼六園下 - 出羽町 - 下石引町 - 小立野 運行系統2 金沢駅前 - 白銀町(六枚町) - 安江町 - 武蔵ヶ辻 - 堤町 - 南町 - 尾山神社前 - 香林坊 - 片町 - 犀川大橋 - 野町広小路 - 大桜 - 寺町3丁目 - 寺町2丁目 - 寺町 運行系統3 野町駅前 - 野町4丁目 - 野町広小路 - 犀川大橋 - 片町 - 香林坊 - 県庁前 - 兼六園下 - 出羽町 - 下石引町 - 小立野 運行系統4 野町駅前 - 野町4丁目 - 野町広小路 - 犀川大橋 - 片町 - 香林坊 - 尾山神社前 - 南町 - 堤町 - 武蔵ヶ辻 - 尾張町 - 橋場町 - 浅野川大橋 - 森下町 - 高道町 - 小坂神社前 - 春日町 - 鳴和 運行系統5 東金沢駅前 - 大樋口 - 鳴和 - 春日町 - 小坂神社前 - 高道町 - 森下町 - 浅野川大橋 - 橋場町 - 味噌蔵町 - 兼六園下 - 県庁前 - 香林坊 - 片町 - 犀川大橋 - 野町広小路 - 大桜 - 寺町3丁目 - 寺町2丁目 - 寺町 運行系統6 金沢駅前 - 白銀町(六枚町) - 安江町 - 武蔵ヶ辻 - 堤町 - 南町 - 尾山神社前 - 香林坊 - 県庁前 - 兼六園下 残る知らんなうんこく 開業は1919年2月2日、廃止は1967年2月11日と早っ! 路線図には 金沢市電廃止当時 国鉄だったJR北陸線らJR西日本になってることや開業してないJR北陸新幹線や北陸線が短縮されてなくなった部分にできるKIRかがいしかわ鉄道があるが部分比較な! 系統 金沢市内線ぬ 運行系統1 (②金沢駅前〜武蔵ヶ辻 +④武蔵ヶ辻〜橋場町 +⑤橋場町〜兼六園下 +③兼六園下〜小立野) 金沢駅前 - 白銀町(六枚町) - 安江町 - 武蔵ヶ辻 - 尾張町 - 橋場町 - 味噌蔵町 - 兼六園下 - 出羽町 - 下石引町 - 小立野 運行系統2 (①金沢駅前〜武蔵ヶ辻 +④武蔵ヶ辻〜野町広小路 +⑤野町広小路〜寺町) 金沢駅前 - 白銀町(六枚町) - 安江町 - 武蔵ヶ辻 - 堤町 - 南町 - 尾山神社前 - 香林坊 - 片町 - 犀川大橋 - 野町広小路 - 大桜 - 寺町3丁目 - 寺町2丁目 - 寺町 運行系統3 (④野町駅前〜香林坊 +⑤兼六園下〜香林坊 +①兼六園下〜小立野) 野町駅前 - 野町4丁目 - 野町広小路 - 犀川大橋 - 片町 - 香林坊 - 県庁前 - 兼六園下 - 出羽町 - 下石引町 - 小立野 運行系統4 (③野町駅前〜香林坊 +②武蔵ヶ辻〜香林坊 +①武蔵ヶ辻〜橋場町 +⑤鳴和〜橋場町) 野町駅前 - 野町4丁目 - 野町広小路 - 犀川大橋 - 片町 - 香林坊 - 尾山神社前 - 南町 - 堤町 - 武蔵ヶ辻 - 尾張町 - 橋場町 - 浅野川大橋 - 森下町 - 高道町 - 小坂神社前 - 春日町 - 鳴和 運行系統5 (独 東金沢駅駅前〜鳴和 +④鳴和〜橋場町 +①橋場町〜兼六園下 +③兼六園下〜香林坊 +②香林坊〜寺町) 東金沢駅前 - 大樋口 - 鳴和 - 春日町 - 小坂神社前 - 高道町 - 森下町 - 浅野川大橋 - 橋場町 - 味噌蔵町 - 兼六園下 - 県庁前 - 香林坊 - 片町 - 犀川大橋 - 野町広小路 - 大桜 - 寺町3丁目 - 寺町2丁目 - 寺町 運行系統6 (③香林坊〜兼六園 +②武蔵ヶ辻〜香林坊 +①金沢駅〜武蔵ヶ辻) 金沢駅前 - 白銀町(六枚町) - 安江町 - 武蔵ヶ辻 - 堤町 - 南町 - 尾山神社前 - 香林坊 - 県庁前 - 兼六園下 野々市市役所へ JR野々市駅は3.5キロ、北鉄野々市駅から2.5キロと北鉄ぬ近い。だがな!市役所に最も近い駅ぬ額住宅前ん 系統経路個別路線図ん
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前ページ次ページSSまとめ 7-596 7-596 名前:ある夏休みの一日(1/11)[パル夕映] 投稿日:2005/08/19(金) 23 52 08 ID O5Ls1QFt0 8月17日夜、早乙女ハルナ寮自室 「ん〜」 作業の手を止め、私は体を伸ばした。 「これなら珍しく余裕で上がるかな」 「夕映、のどか。今日はもういいよ。」 私は手伝ってくれた二人に今日の作業の終了を伝えた。 「うん。じゃあ私お風呂に行ってくるね」 「いつもありがとね、のどか」 のどかは用意を済ますと部屋を出て行った。 「あの……ハルナ」 「ん、夕映どうしたの?」 7-597 名前:ある夏休みの一日(2/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 52 40 ID O5Ls1QFt0 「……明日の予定は空いてますでしょうか?」 夕映はどこか落ち着かない様子で尋ねてきた。 この進行状況なら明日一日くらい休んでも大丈夫かな。 「大丈夫だけど?」 「遊園地のチケットを貰ったのですが…行きませんか?」 そういいながら夕映は二枚のチケットを取り出した。 「それってつまりデート!?夕映から誘ってくれるなんて珍しいね。」 「それで……どうでしょうか?」 夕映が心配そうに尋ねてくる。 私の答えは当然、 「勿論行くよ!」 私がそう答えると夕映はほっとしたような表情をした。 「そうですか。よかったです。では明日……」 この8月18日はこれまでで最高の8月18日になるなんてことは、その時は考えてもなかった。 7-598 名前:ある夏休みの一日(3/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 53 16 ID O5Ls1QFt0 8月18日10時半頃 遊園地前 「夕映まだかなー」 約束の時間の一時間も前に待ち合わせ場所に到着した私は夕映を待っていた。 「でもなんで現地集合なんだろ」 そんなことを考えていると、遠くの方から走ってくる夕映の姿を見つけた。 「ハァハァ……ごめんなさいです……少し遅れてしまいました……」 「いいから、息を落ち着けて」 「は、はい…………ん、もう大丈夫です」 「よし、それじゃ入ろう」 7-599 名前:ある夏休みの一日(4/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 53 54 ID O5Ls1QFt0 さすがは夏休み。場内は家族連れやカップルで大賑わいだ。 女の子二人でこんなとこにいるなんて、やっぱり空しく見えるのかな? 「やっぱり遊園地に来たらジェットコースターよね!」 「う、いきなりですか……」 夕映は少し嫌そうな顔をした。 「夕映がいやなら別にいいよ?」 「いえ、今日はハルナの思う通りにいきましょう」 「そう……じゃあ乗りましょうか」 「う……これは……結構……」 ジェットコースターを降りた夕映はかなりのグロッキー状態だった。まさかここまで弱いと思わなかった。やめといた方がよかったかな? 「夕映大丈夫?」 「大丈夫…です」 そう言う夕映はまだ少し辛そうだ。 「んー、ちょっと早いけどお昼にしようか?」 「あ、はい。それなら作ってきましたのであちらの芝生で食べましょう」 7-600 名前:ある夏休みの一日(5/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 54 15 ID O5Ls1QFt0 「どう…ですか?」 「ん。おいしいよ」 「よかったです」 私たちは芝生にシートを敷いて夕映の作ってきたお弁当を食べていた。 「それにしてもハルナ、いくら周りが騒いでいるからと言って下り坂であんな事を叫ばないでください…」 そうだ、私は… 「あんなこと?『夕映大好きー!』のこと?」 「な…い、言い直さなくてもいいです!」 夕映は私の言葉に真っ赤になる。 「ふふっ、夕映可愛いっ!」 私はつい夕映を抱き締める。 「わっ、周りの人がみてるです!」 7-601 名前:ある夏休みの一日(6/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 54 37 ID O5Ls1QFt0 「グボァー」 「ひゃっ!」 今度は夕映が私に抱きついてくる。 「ほんっと、夕映って可愛い」 食事を終えた私たちは、また私の希望でお化け屋敷に入った。 「ぜ、全然恐くなんかないです…」 「プギャー!」 「ひゃあ!」 「じゃあ次はコーヒーカップ!」 「そ、それならゆったりできそうです…」 「あははははは」 「ひゃ、ひゃあー!は、ハルナ!速く回し過ぎで−−」 「ほんと…ハルナは手加減無しで困るです…」 「あはは、ごめんね夕映。でもあれに乗るとつい……ね?」 そうして私と夕映が遊園地デートを満喫していると、いつの間にか空には赤みが射していた。 「もうこんな時間…楽しい時間は過ぎるのが早い…か」 「ではハルナ。最後にあれに乗りませんか?」 そう言って夕映が指を指したのは… 「観覧車…か。そうだね。遊園地デートといえば締めはやっぱりそれだよね」 7-602 名前:ある夏休みの一日(7/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 55 08 ID O5Ls1QFt0 ゴゥン…… 「今日は楽しかったよ。ありがとう夕映」 「いえ、そんな。お礼なんて……」 「…………」 観覧車はゆっくりと頂上へと進んでいく。私は楽しかった今日一日を思い出して幸せな気分になっていた。 「……?」 ふと夕映を見ると、どこか落ち着かない様子でこちらを見ていた。 「どうしたの、夕映?」 「はっ…あ、いえ……」 「?」 何か…言おうとしているような…… 「……ハルナ、今日は何の日かわかりますか?」 7-603 名前:ある夏休みの一日(8/11)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 56 13 ID O5Ls1QFt0 「今日……?」 何の日だったっけ……? 「ふぅ…ハルナは自分の誕生日も忘れたのですか?」 「誕…生日?自分の……」 今日は……えっと、確か8月18日…… 「そっか…そういえばそうだったね」 「そうです」 「最近原稿のこととか色々忙しくて忘れちゃってた。でもそっか。それじゃあ今日のことは?」 「はい。ハルナに喜んでもらうために企画しました」 夕映は少し照れていた。 「夕映……」 「あと…ハルナ、これを」 夕映は綺麗にラッピングされた小さな箱を差し出してきた。 「これは……」 「誕生日プレゼントです。今日はこれを買っていて少し遅れてしまいました……」 「あけてもいい?」 私は夕映から箱を受け取り、尋ねた。 「もちろんです」 7-604 名前:ある夏休みの一日(9/10)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 56 56 ID O5Ls1QFt0 「なんだろう…」 私はドキドキしながら包装を解き、箱を開けた。 「安物ですし、気に入っていただけるかわかりませんが……」 そこには本をかたどった飾りの付いたペンダントが二つ入っていた。 「二つ?」 「はい。一つはハルナの……そしてもう一つは私のです」 夕映はペンダントを一つ取ると、それを自分の首にかけた。 「お揃いのペンダント……!」 「///……」 「……ねぇ、夕映」 「?…なんでしょうか?」 「これ、私にかけて」「え!?」 「お願い」 「は…はい……」 夕映は私の手からペンダントを受け取ると、照れながら私の首にかけた。 「誕生日おめでとうです、ハルナ」 「夕映……ありがとう」 「いえ…あの……大切な人の誕生日ですから……」 夕映は顔を真っ赤にしながら言う。 「もう…夕映ってばホントに可愛いんだからっ!」 私は夕映をおもいっきり抱き締めた。 「ちょっ、ちょっとハルナ!離してください!」 「だーめ」 「もう…ハルナは……」 7-605 名前:ある夏休みの一日(10/10)[] 投稿日:2005/08/19(金) 23 58 04 ID O5Ls1QFt0 心地よい沈黙。もうすぐ私たちのゴンドラは頂上だ。 「ハルナ……」 「ん、なに?」 「あの……もう一つプレゼントがあるです……」 「もう一つ?」 「はい……それは……」 夕映の様子はさっきより落ち着かない。 一体これ以上なにをくれるというのだろうか? 「……ではいきます……」 夕映は覚悟を決めたように真っ直ぐこちらを見つめてきた。 「えいっ!」 「!?」 それはちょうど頂上。私と夕映の唇が触れ合った。 「……これがもう一つのプレゼントです……どうしましたか、ハル−−わっ!」 私はあんまりにも夕映が可愛くて、もう一度夕映を強く抱き締めた。 「夕映からキスしてくれるなんて!ホント、最高のプレゼントだよ!」 「こ、こんなことするのは今日だけです!」 「もー我慢出来ない!」 「わっ!ハルナ、こんなところで!や、やめるです!」 私の大切な大切な夕映。夕映のおかげで今日は最高の誕生日になったよ。 何もしてくれなくても夕映が傍にいてくれるだけで幸せ。 夕映大好き!愛してるよ!! 前ページ次ページSSまとめ
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巾着田キャンプ雑感 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 関連項目 2016-10-23 この項目のタグ タグ「雑記」「」がついた項目 2014-08-10/家族キャンプ用の道具 / 2015-02-05/26インチハードテイルにリジッドフォークとフロント29インチ / 2015-02-27/ジキルを10速化したい / 2015-06-11/27.5インチオールマウンテンハードテイル / 2015-06-23/ジキルを11速化したい / 2015-08-14/M8000系XT購入検討 / 2015-09-15/DeNAとブルックリンマシンワークスのコラボ自転車 / 2015-10-06/ジキル11速化による重量の変化 / 2015-10-07/チャイルドトレーラー / 2015-12-14/16インチキッズバイク / 2015-12-26/サイクルキャリア / 2016-06-15/この春買ったアウトドア用品 / 2016-06-24/ロングテイルバイクが欲しい / 2016-10-07/家族キャンプ用の道具 / 2016-11-30/自転車の道路横断 / 2016-12-31/2016年を振り返って / 2017-01-08/OGKのリアチャイルドシート / 2017-02-11/クロモズ275のカラーリング / 2017-12-10/バーベキュー参加者へ / 2017年を振り返って
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『ゆっくりキャンプするよ』 18KB 観察 不運 自業自得 差別・格差 日常模様 群れ 自然界 現代 独自設定 読んでいただけるとうれしいです。 3作目です。とても長くなりました。 人間はゆっくりを虐めません。ゆっくりごとき、わざわざ虐めなくても・・・というお話です。 木々が茂り、渓流が流れる美しい山の中腹。遠くには幾重にも連なる白い峰がそびえ立つ。渓流からほど近く、頭上に木々が垂れ下がるちょっとした広場を中心に、中規模のゆっくりの群れがあった。 秋が深まり木々が色づき始めた頃、ゆっくりたちは来たる冬に向けて食糧確保に精を出していた。 そんなある朝のこと。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・ という地面を揺るがす音に、群れのゆっくりたちは飛び起きた。 『ゆっくりキャンプするよ』 1台のオフロード車が、道無き道を走り、広場に停止した。 乗っているのは1組の男女。都会で働く2人は、大学時代からの付き合いで、恋仲だった。 今日は男の地元にある山に紅葉狩りを兼ねたキャンプにやってきたのだ。 ここは人の通るハイキングコースや道路からすこし外れた場所にあり、男曰く「穴場だ」という。たしかに他の人間を見ることもなく、2人水入らずのキャンプができそうだ。 そして、ここに住むゆっくり達にとっても、初めて見る人間の姿だった。 「な、なんなのぜ」 「すごいおっきいのがくるよ~。わからないよ~。」 「ゆう、れいむあんなのはじめてみるよ。」 「こ、こわくなんかないんだからねっ」 「はくろーけんのさびにしてやるみょん!」 騒ぎ出すゆっくり達。2人はそんなゆっくりには目もくれず、車を止めるなり男はテントを、女は組み立て式のテーブルを作り始めた。 「むきゅ、みんなおちつきなさい。」 この群れの長であるぱちゅりーが、いきり立つゆっくり達をなだめる。ここに住むゆっくりはほとんど全てが生粋の野生ゆだ。 ただし、長のぱちゅりーは元飼いの子孫のため、クリームの奥深くに人間の怖さの記憶をとどめていた。 群れのゆっくり達がようやくまとまったころ、2人はテントとテーブルを組み終わっていた。 男は最後の仕上げとして、テントの上にスピーカーを取り付け、録音された音を大音量で流した。 『ここはにんげんさんのおうちだよ!ゆっくりたちは、はいってこないでね!』 いわゆる「おうちせんげん」である。 キャンプの際、人の作ったテントは、ゆっくり達にとっては非常に魅力的な、広くて大きな「おうち」となる。当初はそれによるトラブルが相次いだ。 その後、テントを建てた直後に、辺りにいるゆっくり達に人間の家だと宣言することで、ゆっくりとのトラブルを減らせることが分かり、今ではキャンプの際当たり前の行為となっている。 混雑期の朝など、キャンプ場のあちこちから「おうちせんげん」が聞こえる様子はある種の風物詩となっているほどだ。 「ゆゆう!」 「あ、あれっておうちだったの!?」 「おうちつくるのはやすぎなんだね~。わからないよ~。」 「あ、あんなおうち、ちょ、ちょっとだけ・・・とかいはね。」 「おおきいおうちだみょん」 「むきゅっ!」 一瞬にして、自分たちにはとても作ることの出来ない、ゆっくりとしたおうちが目の前で完成し、直後に「おうちせんげん」をされたことで驚くゆっくり達。 特におうち作りに自信を持つちぇんとありすは露骨にショックを受けているようだ。 だが、出来たばかりのテントに元の所有者はいるはずもなく、辺りに聞こえるほど大きな音で出された宣言のため、心の中でどれだけ住みたいと思っていても、 「おうちせんげんは絶対だ」という本能に対してゆっくり達に反抗する術はなかった。 この2人は学生時代から何度もキャンプに来ているため手際が良いというのも要因の1つではあるが。 「み、みんな、おちついて。ぱちぇがおはなししてくるわ。」 ゆっくり達が騒ぎ出す前に、長ぱちゅりーが言う。 『これでよし、と。』 『本当にいい所ね。穴場って言うだけあるじゃない。』 「むきゅ、にんげんさん、ちょっといいかしら。」 『なんだ?』 「むきゅ、ぱちぇはぱちぇ。むれのおさよ。にんげんさんはここにすむつもりかしら?」 『いや、明日には帰るよ。あとあんた長ならみんなに言っといてくれ。』 「な、なにかしら?」 『いやいや、たいしたことじゃない。俺たちはゆっくりに関わるつもりはないから、今後話しかけてきても無視するってな。』 キャンプの際、ゆっくりは無視する。これも鉄則である。ゆっくりは好奇心が旺盛なため、見慣れない人間にはしつこく絡んでくることがあり、これもまたトラブルの一因となっている。 男は最初から話しかけてきたのが群れの長だと分かっていたので、あえて返事をしたのだ。 「むきゅ、わかったわ。ほんとうにあしたにはかえるのね?」 『あぁ、そうだよ。』 それを聞き、ぱちゅりーは群れのみんなの元に向かった。 「みんな、きいてちょうだい。にんげんさんは、あしたにはかえるそうよ。それから、にんげんさんにはなしかけるのはきんしにするわ。」 どよめくゆっくり達。基本的にゆっくりは人間を下に見ているため、即刻排除に動こうとする者もいる。だが、長ぱちゅりーには思惑があった。 「いいかしら。にんげんさんがかえったあと、あのゆっくりしたおうちは、むれのみんなにかいっほうするわ!きょうどうのえっとうじょにしましょう!」 「ゆゆう!!」 「おさはてんっさいなんだね~!わかるよ~!」 これである。たった1日ちょっと我慢すれば、広くて大きなおうち、共同越冬所が手に入ると分かり、他のゆっくり達も納得した。テントについて大幅に勘違いしているとか、 群れのみんなが入るほど大きくないとか、そのあたりは仕方ないことだろう。ゆっくり達に知識はなく、空間認識能力は甚だ低いのだから。 こうしてゆっくり達が話をしている間、2人は朝食として持参したおにぎりを食べ終わっていた。 2人は、午前中のんびりすごすことにした。 なんといってもここは景色も良く、木々も色づいて最高の眺めだ。見上げれば赤、黄、緑の葉が広がり、遠くの峰といえば山頂は雪をかぶって白く、低くなるにつれ紅葉が混じるという美しいグラデーションが楽しめる。 さらに渓流の水音が辺りを満たし、東向きのこの広場はこの時間、日当たりも上々という、まさに穴場スポットなのだ。 さて、ゆっくり達はといえばそろそろ、狩りに出かける時間である。この時期は冬に向け、1日に何度も狩りに出かけなければならない。この群れはしっかり統率も取れていたと見えて、 赤ゆっくりや子ゆっくりの姿は見られない。成体直前の若いゆっくり達はそれなりにいるが、それらは群れの下っ端として、とくにたくさんの狩りをしなければならなかった。 また、れいむ種とありす種は越冬のための巣の補強に取り組んでいる。 「きょうもちぇんがいちばんたくさんとるんだね~」 「ゆゆっ、きょうこそはぜったいにまけないのぜ!」 「きょうもとかいはなこーでぃねーとをするわよ」 「れいむはふゆさんにつかうけっかいのよういをするよ!」 ゆっくり達は張り切っている。 昔はだらけたり、ギリギリまでゆっくりしようとする群れも数多くあったが、そんな野生の群れはもうほとんどない。ないというか、淘汰されたのだ。 特に冬は雪深くなるこの山で、そんな群れがあれば春には無くなってしまう。 2人はやわらかい草の生える広場に寝転がり、普段の忙しさを忘れてのんびりと過ごしている。時々語り合い、景色を見ながらこの休暇をめいっぱい楽しんでいた。 「ゆう、にんげんさん、ゆっくりしてるよ」 冬に使う巣の扉、すなわち「けっかい」をちまちま作っていた1匹のれいむが、材料の草を補充するため巣から出たところで、それに気付いた。 ゆっくりは、「ゆっくりした」空気を敏感に感じ取る。今2人の間を流れる空気は、まさに「ゆっくり」を体現したような穏やかさだ。 れいむは遠巻きに、2人の様子をうかがっていた。というより、そのゆっくりした雰囲気に見とれていた。 「ゆっ、れいむ、なにやってるのぜ?」 そこへ、1度目の狩りへ行ったゆっくり達が帰ってきた。 これから2度目の狩りへ出発するのだ。 「ゆゆっ、まりさ、みてみて、にんげんさんがゆっくりしてるよ!」 「ゆっ、ほんとなのぜ!すごくゆっくりしてるのぜ!」 「にんげんさん、ゆっくりしてるんだね~、わかるよ~」 「ゆっくりしてるみょん」 「とかいはなゆっくりね」 「ゆっくり~のひ~、まったり~のひ~」 いつの間にか、外の声に気付いたありすや他のれいむ達も出てきて、2人の様子を見守っている。中にはつられて自分もゆっくりしはじめる者も出てきた。 「むきゅ、なにをしているのかしら?」 「あっ、おさ!みて、にんげんさんゆっくりしてるよ!」 ぱちゅりーが出てきた。ぱちゅりーもゆっくりである。2人を囲む穏やかな空気を見て、仕事をする気がおきないことがすぐに分かった。 「むきゅ、しかたがないわ。きょうはわたしたちもゆっくりおやすみにしましょう」 「「「ゆわ~い!」」」 長ならではの機転、というより、自分もゆっくりしたかっただけである。 とはいえこれは良い判断だった。そうでなければ、必死に狩りをする自分たちとのんびりする2人を見比べて、人に攻撃を始める者が間違いなく出ただろうから。そうなれば群れは終わりである。 2人は、いつのまにか眠っていた。 しばらく経って、2人が目を覚ますと、ちょうど昼時だった。 2人は車から木炭や網、クーラーボックスなどを取り出し、てきぱきと組み立て始めた。 今日のお昼はバーベキューだ。 2台に分かれたクーラーボックスには男が奮発した肉や野菜が入っている。 一方、ゆっくり達にとってもお昼時だ。いつもは晴れていればこの広場で家族ごとにご飯を囲むのだが、今日は2人がいてとても場所が足りない。 先に場所を確保したいくつかの家族もいたが、他のゆっくり達は仕方なく、巣の中で食べることにした。今日1日我慢すれば広いおうちが手に入る、そう信じて。 火が起こり、ジュウジュウという肉を焼く音、そしてその香りが辺りに漂い始める。 都会ではとてもできない、大自然の中の贅沢なバーベキュー。 2人にとって至福の時間だ。 しかし、ゆっくり達にとっては・・・。 広場で昼食を摂っているゆっくり達は、2人が準備をしているときから気が気でならなかった。見たこともないたくさんの野菜に釘付けだったのだ。しかし、肉を焼き始めると興味はそちらに移った。 ゆっくりは雑食だ。しかし獣の肉は食べない。というより、食べられない。ゆっくり達が獣を狩るなど、逆さになっても不可能だからだ。逆さになれば余計ダメだが。 だから肉の味を知らない。しかし、焼いた肉から立ち上る香りは、ゆっくり達にとって嗅いだことのない、まさに「ゆっくりとした」匂いだった。 広場にいたゆっくりはもちろん、巣の中で食事をしていたゆっくり達もたまらず、また広場の周りに集まりだした。 「ゆう~、おいしそうなにおいだよ。」 「まりさ、あんなのたべたことないのぜ。」 「れいむもだよ。」 「とかいはね。ゆっくりしてるわ。」 「たまらないみょん!」 「ほんとうにおいしそうだよ。わからないよ~。」 食事をしているゆっくりが、その手を止めて別のことに興味を向ける。 これはよほどのことがなければあり得ない。 都会の野良ゆっくりは、こうした香りに悔しさを噛みしめるが、野生のゆっくりは初めての体験に興奮していた。 しかし、遠目には2人が何を食べているのか分からない。 食べやすく輪切りにされた野菜や、焼いた肉など見たこともない。 ただ、それがおいしそうなものだと思い、よだれをだらだらと垂らしている。 しかし、人と話すことを禁止されているので近づけない。 どうしようか、近づいてみようか。でも、長が・・・。 ゆっくり達がそうこうしているうちに、2人は食べ終わった。それを見たゆっくり達が、香りの余韻を感じながらふと、自分たちが食事中だったことを思い出し、戻っていった。 こころなしか、いつも聞こえる「しあわせ~」の声が今日は少なかった。 『そろそろ、行ってくる』 『えぇ、私は山菜でも採ってくるわ。』 『あぁ、気をつけてな。』 『あなたこそ』 2人は、車の中から男は釣り竿や道具を、女は大きめのバケツを持って、それぞれ渓流と山へ歩き出した。夕食の調達に出かけようと言うのだ。 男は長年の経験からルアー釣りが、女は学生時代の知識を活かして山菜採りが2人それぞれの趣味でもあった。 「みょおおおおおん!」 「なんなのぜあれは!」 相変わらず2人の様子を遠巻きにうかがっていたゆっくり達だが、釣り竿を見てみょんとまりさがショックを受ける。 どちらも木の枝の武器を誇りとする種だが、釣り竿を男の武器と勘違いし、さらにその大きさに目をむいていた。 たまらずみょんとまりさ達は男の後を追う。 男は気にも留めず、渓流に入って釣りを始めた。みょんやまりさ達は興味津々に男の仕草を見ている。 しばらくすると、男は見事なイワナを釣り上げた。クーラーボックスに入れ、また釣りを再開する。 これにはみょんもまりさも大ショックを受けた。 大きな木の枝を水面で振っていたかと思ったら、急に魚が浮き上がっててきたのだから。もちろん糸など見えないし、知らない。 みょんは自慢のはくろーけんを、まりさは帽子の中にあるオールを取り出し、それぞれ水面の近くでくわえて上下に振り始めた。 「みょんのはくろーけん、まつんだみょぉぉん」 「ま、まりさのだいじなおーるさんがぁぁぁ」 中には渓流にそれらを落とし、追いかけようと飛び込んで死ぬ者も現れた。 男は全く意に介さず、黙々と釣りを続け、夕食の大物のイワナ2匹、ヤマメ2匹を釣り上げた。そのほかの小物はリリースし、広場に戻っていった。 ゆっくり達は「いつおさかなさんがうかんでくるんだろう」と、男が帰ったのにも気付かずに黙々と枝を振るっている。振るうたびに水に落ちたり、枝を落としたりしている。 だが日頃から魚に食べられることはあっても、食べたことのないゆっくり達は必死である。 「なんでおさかなさんでてこないのぉぉぉ!?」 そんな声も時々こだましていた。 一方、山に入っていた女には、ちぇんやありすが遠巻きに付いていった。 単に好奇心からである。 『あら、おいしそうなヤマブドウ。』 『ワラビ、まだあるのね。』 『うわぁ、すごい。天然ワサビ発見!』 次から次へと山菜を採っていく。ゆっくり達が草だと判断したものや、採ることのできない高さの実など、山にはかなりの山菜があった。人があまり立ち入らないことも幸いしているのだろう。 迷わないよう、近くの木にビニールテープで目印を付けながら軽々と分け入っていく。山菜採りを趣味にしているだけのことはある。 「ゆひぃ、ゆひぃ」 「も、もうだめ、ついていけないわ」 一方、後を追っていたゆっくり達だが、ありす達は早々にリタイア。 「は、はやすぎるんだね~、わ、わからないよ~」 「あ、あのおねえさん、すごすぎるよ~」 かけっこ自慢のちぇん達も次々にダウンし、女がそろそろ良いかと思う頃には付いていたゆっくりはちぇん1匹になっていた。いつも群れで一番の狩りをしてくるちぇんで、あんよが丈夫だったのだ。 早々にリタイアしたありす達は疲れ切って群れの方に戻っていった。 少し後にダウンしたちぇんたちは、分け入ってしまったためほとんどが迷ってしまい、以後群れに戻ることはなかった。 そして、最後までついていたちぇんは。 「ゆゆう~、わからないよ~、はやすぎるよ~」 下りになり、速度が増した女について行けず、やはり迷ってしまった。ビニールテープなど気付くわけがない。このちぇんも、もう群れに戻ることはできかった。 群れに残ったれいむ達は、相変わらず遠巻きにテントや自動車を眺めながら、冬になり、その中でゆっくり過ごすことを妄想し続けていた。 『ジャーン』 『じゃーん』 『うわぁ、すごい、大物じゃない!』 『こっちもすげぇ。大量だな!』 男は誇らしげにクーラーボックスの中を見せ、女はテーブルに山菜を広げる。 『お水、汲んできてもらえる?』 空になったバケツを男に渡して言う。 『分かった。』 男はバケツを持ってまた渓流に降りていく。夕食の米を炊くのと、山菜の料理に使用するのだ。魚はバーベキューにする。 男が渓流に下っていくと、ゆっくり達はまだ釣りのまねごとをしていた。数は半分くらいになっていたようだが・・・。 やはり男は特に気にせず、渓流に入ってバケツで水を汲んだ。 そのとき、偶然にも魚がバケツに入ってしまった。 「「「「「ゆゆう!!!」」」」」 男は魚を戻し、もう一度水を汲んで登っていった。 ゆっくり達、特にまりさ達は気付いた。 「えださんをふらなくても、おぼうしでおみずさんをすくえば、おさかなさんがとれるんだぜ!」 男が登っていった後すぐ、その場にいた全てのまりさが男のやったように水に飛び込み、中で帽子を脱いだ。 「まりさのおぼうし、かえってきて~!」 「ど、どうしてあんよさんがうごかないんだぜ!」 「がぼぼぼぼがぼがぼぼ」 「お、おみずさんこわいのぜ~!」 結果は言うまでも無い。水に帽子を流される者、溶けて慌てる者、深いところに落ちた者、入ってから水を怖がる者などさまざまだ。 「い、いまたすけるみょん!」 「このはくろーけんにつかまるみょん!」 みょん達はあわてて、まりさ達を助けようとした。枝を突き出した者はまだ良いが、慌てて飛び込む者までいる始末。 枝を突き出した者も、複数のまりさが枝をくわえたため引きずり込まれ、結局、男の後を追ったゆっくり達は1匹も帰ってこなかった。 辺りはだんだん暗くなり、2人も夕食の準備を終えたようだ。 飯盒を使った炊きたてご飯、取れたての山菜のおひたし、そしてイワナとヤマメの塩焼き。デザートにはヤマブドウ。シンプルだが都会では味わえない至高の夕食だ。 昼食がバーベキューだったこともあり、さらにこのさっぱりとした味が際立っている。 この頃になると、ゆっくり達も異常に気付き始める。 ちぇんが、みょんが、まりさが戻ってこない。 長の巣の周りには、涙を流して訴える多数のありすとれいむ達。なんと群れの9割ものゆっくりが、家族が誰かしら帰ってこないと嘆いていた。だが、時間が遅すぎた。 「むきゅぅ、もうくらくなってきたから、あした、みんなでさがしにいきましょう。」 「まりさたちならきっとだいじょうぶよ。あさになったらもどってくるんじゃないかしら。」 そういってどうにかなだめ、巣に帰るようにうながす。ありすやれいむ達も従うしかなかった。山の夜の暗闇は深いのだ。 番や家族が帰ってこないゆっくり達は、もそもそと巣の中で夕食を食べ出した。 他のゆっくり達も、夕食の時間だ。 しかし、また2人の夕食の香りが鼻につく。 炊いたご飯、焼き魚・・・いままで嗅いだこともない、おいしそうな香りが漂う中、虫や草をすこしずつ口に運ぶ。人間の方がいいものを食べてるとは思えない。思いたくない。 この晩、「しあわせ~」の声は皆無だった。 番を失ったゆっくり達は、なかなか眠ることが出来ず、涙を流し続けていた。 たまらず、夜風に当たろうと巣の外に出たゆっくりも少なくない。そして、そこで見たものとは・・・。 『今日は本当に来てよかったわ。』 『あぁ、最高だった。』 テーブルの上で、ランタンの光に照らされて語り合う2人だった。 「ゆううう!」 「たいようさんをひとりじめしてるよぉ!」 「こ、こわいよ~」 山に住むゆっくり達にとって、辺りを照らして光るのは月と太陽だけだ。 特にまぶしく光るものは太陽しか知らない。 ゆっくり達は、人間が太陽を捕まえてしまったと思い、怖くなって巣に戻り、震えながら泣いていた。 2人はそのうち、テントに入って眠りについた。 次の日の朝、2人は帰り支度を始める。 手際よくテントやテーブルを分解し、車に積み始めた。 「ゆううううううう!」 「お、おさ、おさ、おうちがぁぁ、ゆっくりしたおうちがぁぁ」 ゆっくり達は当てにしていた「ゆっくりしたおうち」が無くなったのを見て大慌てだ。 「お、おさ、まりさがぁぁ、みょんがぁぁぁぁ」 続いて、渓流で水を飲もうと降りていったゆっくり達が大量のまりさとみょんの死体やおかざりを発見し、大慌てで戻ってきた。 あまりにまとまって死んだため、流されきれず残っていたようだ。すぐ近くに流れ着いたものもあるのだろう。 「おさ、ちぇんが、ちぇんがもどってこないの」 「あちこちさがしたけどみつからないの」 昨日、女を追いかけていったありす達が、一緒に登っていったちぇん達が戻っていないと知り、早朝から探し回ったが見つからないと報告が入る。 群れの中は大騒ぎになっていた。異常事態にもほどがある。 「も、もうがまんできないのぜ!!」 長ぱちゅりーの番であり、群れの幹部のトップとして実務を仕切っていた群れ最強のまりさが怒り狂って広場に向かっていった。 『そろそろ帰ろうか』 『そうね。あ~楽しかった』 2人は、ちょうど帰り支度を終えて車に乗り込むところだった。 「ま、まつんだぜぇぇぇ、ゆぎゃっ」 『うわぁ最悪、ゆっくり踏んじゃった』 『なんだこいつ、急に飛び出してきて。』 まりさは、人間の前に立ちふさがって尋問するつもりだった。 だが、スピードを見誤った。まりさが思ったより2人が歩くのは速く、まりさが走るのは遅かった。 そのため、タイミング悪く女がまりさを真上から踏みつぶしてしまったのだ。 『まぁ都会の野良ほど汚くないし、家帰って洗えばいいよ。』 『そうね、まったくなんなのかしら。』 2人はそう言って車に乗り込み、去っていった。ゆっくり達は一瞬で最強のまりさが死んだという出来事に呆然としている。 群れの被害は甚大だった。 最強まりさという番を亡くした長ぱちゅりーは、「ゆっくりしたおうち」、つまり共同越冬所の計画が頓挫したことを理由に、主に番を失ったれいむ達によってせいさいされた。 残ったのはれいむとありす、そして数匹のまりさ、みょん、ちぇん。越冬用の食料を貯めるには力不足である。 さらに、群れのゆっくり達はその日からご飯が食べられなくなった。 2人が昼食と夕食で漂わせた香りを誰もが忘れることができず、それ無しで食べる草や虫はまずくて飲み込むことができなくなった。なんと、香りだけで舌が肥えてしまったのだ。 3日もすると、飢えとストレスで狂ったありすがれいぱー化し、他のゆっくりを襲った。 そのれいぱーありすも、その後山をさまよった挙げ句のたれ死んだ。 2人が去って1週間もすると、あの群れにいたゆっくりは1匹残らず死んでしまった。文字通り、群れは壊滅したのだ。 2人はその後、無事結婚し、今も都会で幸せに暮らしている。この「穴場」のキャンプには、年に1度は訪れている。 この場所には何年かごとに群れができるが、毎回同じような末路を迎えている。 家族も増え、幸せいっぱいの2人は、そのことに気付いていない。 過去作 anko3758 おいわい anko3805 消える声
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/607-615 七月末の未明。 夏休みという学生にとっての最大級の休日も、受験生である俺にとっては全く関係ないものであった。 この時期を逃すようなら合格はあり得ないと、皆参考書を片手に意気込むのだ。 はっきり言っちまうと、周りの奴らには良くこんなに蒸し暑い時期にどうしてそこまで張り詰めて勉強できるのかと呆れながら感心している。 そんな他人事のように言っている俺も現在立派な大学受験生なのだが。 とろとろになるぐらいの暑さでぐったりしながら受験勉強に励んでいたある日の夜、俺の携帯電話の着信が鳴った。 確認すると、沙織からだった。 「もしもし」 「あ、京介氏でござるか! どうもお久しぶりです!」 「よう、元気にしていたか?」 「はい、お陰様で私は元気にやっておりますぞ」 電話に出たのはいつものござる口調の沙織からだった。 確かに桐乃や黒猫たちと遊んでいる時の様な声の高さからして悪くないみたいだ。 以前沙織からとある相談を受けてからしばらく経つから心配していたが元気そうで何よりだ。 「京介氏こそ受験勉強ははかどっていますかな? こんなに暑くてはシャーペンを持つのも億劫にはなりませんか?」 「本当その通りだ。今すぐにでもこの身を投げてプールにでも入りたい気分だよ」 「ふふふ、そんな京介氏に朗報ですぞ。今月末に大イベントを開催しようと思いましてな」 「お、また桐乃と黒猫となにか計画しているのか?」 「いえいえ、今回はSNSのイベントではありません。私自身が身内とやろうと思って主催するオフ会です。もちろんきりりん氏や黒猫氏にもこれから教える予定です」 「へぇ。で、なにをやるんだ? やっぱり海や山でキャンプとかバーベキューでもやるのか?」 「さすが京介氏鋭いですな。そうです、ここから少し遠いですが山間部へと赴いてキャンプ場で二泊三日のアウトドアを満喫しようというわけなのです」 「はは、また面白い事をするな。しかしまたなんでそんな大事な事を桐乃や黒猫の前に先に俺に言うんだ?」 「ええと……実は京介氏に頼みたい事がございまして」 「まあいいんだが、内容によるな」 俺は一応受験生だし、引き受ける内容がえらく難しかったりすると勉強にも大きな影響が出てくるからな。 沙織には悪いがあまり面倒な事は引き受けられないのが現状だ。 「いや、そこまで面倒ではありません。ですが、ちょっとした問題がありまして」 「なんだ? とりあえずどんなことなのか言ってみろよ? 話はそこからだろ?」 「……わかりました。実は……」 … … … … 「……ということでして、これを京介氏に」 「すまん、切る」 「ちょっと待ってください! そのような反応をされる事は重々承知しておりました! ですがもう少しだけお話を!」 「切るのは冗談だ、悪かったよ。しかしだな、沙織よ」 「?」 「何で……『俺たちと面識のない奴』限定で誘う必要があるんだ? 別に俺たち四人だけでも十分楽しめるじゃないか?」 「えっと、こ、これには深い訳がありまして」 「つーかこの事を桐乃や黒猫に言ってもはいそうですかってすんなり受け入れるとは思えないぞ? 桐乃はともかく、黒猫なんか断固拒否しそうだぞ」 「そ、その事は既に考えました。もし私たち以外、オタクとはかけ離れた『一般人』まで誘うとなると、嫌でもそういう人たちと対面して交流しなければならない。 私も恐いですが、京介氏が仰る通り黒猫氏が一番拒否を示すでしょう。……正直凄く悩みました。しかしこのまま逃げてばかりではいつまでも進歩できないと思ったのです。 私は……それを、このイベントで乗り越える足枷としたいのです」 「沙織……」 そうか、そうだよな。桐乃や黒猫に言えなかった事をわざわざ役に立つか分からない俺に相談したんだもんな。 沙織の意思を無視してしまったら、それこそこいつの勇気や努力を摘んでしまうかもしれない。 「分かった。俺の知り合いをできる限り集めるからそれでいいか?」 「京介氏……。どうも、ありがとうございます! あの……私のためにここまでしてもらって」 「いいってことよ。こんなこといつものことだろ? 桐乃なんて唐突にそれこそ脅迫するような勢いで人生相談された時があってそんときは大変だったんだぜ?」 「ぁ……そうでござるか」 ん? 俺なんか変なこと言ったか? 沙織の声が暗くなったような気がしたが以前の事は極力話さない方がいいのだろうか? ここは少し話を戻してみるか。 「そういえば人数を集めるとして、いつ頃までにやっとけばいいんだ? そっちだって準備するべきことがあるはずだからそんなに長く待てないよな?」 「そうですね。こちらの準備はそこまで時間はかからないので、できれば一週間以内に集めて頂けないでしょうか?」 「一週間以内だな? 分かった、できる限り早く集めとくから任せとけ」 「繰り返しますが本当にありがとうございます。いつもいつもご迷惑をお掛けして本当に」 「だーかーら、何度も言ってるだろ? 友達なら当たり前のことだって」 「……そうでございましたね。すいません、これから用事があるのでこれで失礼しますね」 「お、おぉ」 それでは、と一言言ってプツッと電話が切れた。 何故か今の言葉だけはいつものござる口調ではなく、お嬢様口調になっていた気がした。 そしてやはり少し暗い印象を受けた。 やっぱり俺、また変な事でも言ったかな? 桐乃のことを話した後に暗くなったのは覚えているがそれは笑うかと思って話題にしたんだが逆効果だったか? それとも沙織から相談を受けたのは最近のことだから、まだまだ現在進行中で自信を持つには日を要するのだろうか。 ……くそ、わかんねぇ。 とにもかくにも乗っかった船だ。やるからにはできるだけ多く集めた方が良いだろうな。 正直なところ受験勉強と暑さが相まってあまり乗り気ではないが今更やっぱり無理でした~なんて言えないよな。 さて、誰から攻めていこうか。と考えてみたものの、最初に誘う相手は既に頭の中に入っていた。 まあ……あいつらしかいねぇよな。同類的な意味で。 一方その頃。 早く切りたいという気持ちを抑えて静かに電話を切った。 軽く深呼吸をして椅子にもたれながら天井をぼーっと眺め先程の事を振り返る。 嫉妬してしまった。きりりん氏に。京介氏の実の妹なのに。 京介氏がとても嬉しそうに彼女の事を話しているのを想像すると、本来ならば仲が良い兄妹だなあという風な笑い話になるはずなのだが 彼女の京介氏に対する感情は並みの兄妹のものではないことはお二人方と接してきて気がついていた。 いや、もしかするとそれ以上の……考えたくない。考えたくもない。 もう寝よう。今まで感じた嫌なものを抑え込むようにベットで丸くなりがら目を閉じた。 眠ることによって少しでもこの感情が減ってくれればいいと願いながら。 次の日学校にて。 というわけで今日は学校で受験生専用の補習を終え、現在ゲー研部室なうだ。 分かっているだろうがここはゲーム制作を目的とした部活なのだが、れっきとしたオタクの奴らの集まりだ。 その証拠に新作のエロゲやアニメのDVD、漫画などがあちこちに散乱していた……はずなのだが 今年入部してきたお節介好きなとある一年女子によって、今は綺麗に整理整頓されている。 ちなみにその一年女子はいつかの俺たちの策略にはまり、腐女子という他人に知られざるべき属性を自ら暴露してしまったために ゲー研の一人の男子部員に深い傷を負わせてしまった経験があるのだが、本人はむしろ以前よりも開放的になったみたいだ。 ……その男子部員はその後どうなったかって? 彼のことを心配するなら頼むから放っておいてくれ。 と、部室に入ると黒猫が何やらノートに書き込んでいる様子が目に映った。 「よう」 「あら先輩、こんにちは」 色っぽさのある笑顔で挨拶し、すぐさま目の前の作業に入った。 黒猫には悪いが、今やっている作業は一旦止めてもらい昨日の沙織の話をさせてもらおう。 「作業中悪い。昨日沙織から何か話しかけられなかったか?」 「ああ聞いたわ。確か大勢で集まってキャンプをしようだとかなんとか」 「そうだ、それなら話は早いな。お前も暇だったら是非参加を……おい、黒猫?」 黒猫のペンを握っている手がぷるぷると震えていた。それどころか手、足と体全体に広がっていき大量の汗が滴り落ちていた。 ……この様子だと沙織と話している時も同じ反応をしたみたいだな。 「せ、先輩は人をど、どのくらい集めるつもりなのかしら?」 「うーん、とりあえず知り合いだけを集めるつもりでいるから十人程度だな」 「じ、十人!? あ、あの本当に私たちだけじゃ……駄目なのですか?」 今にも泣き出しそうな顔で問いかける黒猫。 やはり以前の沙織と同様に、俺たち以外の人との交流を極端に嫌がっているみたいだ。 「ああ、いつものように桐乃と俺、それに沙織と黒猫のメンツだけでも楽しいだろうな。 ……しかしだな、俺たち以外の奴らと交流したらもっと楽しくなるかもしれないだろ?」 「それはそうですけど……」 「それに沙織が何でこの企画を考えたのか分かるか? 多分お前と同じ心境だろうけどそういう自分が嫌で克服したいだそうだ。 ……俺は沙織が頼ってくれたことは嬉しいし、何より前向きになっている姿を応援してあげたいんだよ」 「むぅ……」 黒猫は俯きながら何か小言のようなものを漏らしていたが、何と言っているのかは残念ながら聞き取れなかった。 潤んだ瞳で顔をあげた黒猫は弱々しくもはっきりとした口調で発した。 「わ、わかりました。考えておきます」 「ありがとよ、頼んだぞ」 やっぱり昨日沙織から連絡がきたときに断ったんだろうか。それが事実なら、黒猫なら十中八九そうするとは思っていたが 予想以上に泣きべそをかくくらいに拒否反応を示したことにこれで本当に良かったのかと胸が痛くなってきた。 だって、今俺が黒猫にした事は説得しているようにも見えるが相手に無理矢理自分の価値観を押し付けている状況にも見えなくはないだろう。 俺のした事って、本当にこれで良かったの? と不安に駆られている最中に突然訪問者が現れた。